2012年2月3日金曜日

おばあちゃんからのお年玉

February 3, 2012. Written in Taipei, Taiwan.

おばあちゃんからのお年玉


中国式のお年玉は必ず赤い封筒に入る。赤という色は幸福を持ち出すとされているからだ。逆に白は「死」を意味するので要注意。
日本と同様、お正月の子どもたちの大きな楽しみの一つは今年いくらがもらえるかだ。だが、日本と違うのは、お年玉は子どもだけでなく、年上の人にもあげることがあるという点だ。たとえば就職した成人は、親戚の子どもにだけでなく、自分の両親にもあげるらしい。

それはそうと、旧正月の大晦日を高雄のWちゃんの家族の元で過ごした。台湾人の家族と一緒に旧正月を祝えるなんて、そうそうできない貴重な体験だった。
夕方になるとWちゃんのおばあちゃんの家を訪れた。おばあちゃんは日本植民地時代に育てられ、日本語、または日本的な教育を受けたので、今でも少し日本語が話せる。
僕が日本語を話せると聞くと、とてもうれしそうな顔をしてくれた。
「まあまあ、ゆっくりしなされ」
「ありがとうございます」と言うと「いえいえ」と、日本人の老人によく似た言い方をした。
なんだか、不思議な気分だった。もちろん、台湾の老人は日本語をしゃべる人が多いという事実を知っていたが、実際にそのような方とは今まで触れ合ってこなかったから。
Wちゃんのおばあちゃんは今でも毎日、日本の演歌を歌うという。ぜひ聴きたいというと、誇り高そうに美しいお声で歌ってくれた。みんなが拍手すると嬉しそうにニヤニヤと微笑んでいた。

そんなおばあちゃんが、急にバックから赤い封筒を出すのではないか。
「はい、あけましておめでとー」
初対面なのに申し訳ない気持ちもあったが、彼女の気持ちが嬉しかった。これからもずっと元気でいてほしい、素敵なおばあちゃんだった。

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