2012年3月2日金曜日

彷徨う異邦人4 上海編

March 2, 2012. Written in Kunming, China.

彷徨う異邦人4 上海編

現代的な国際都市。来る前、上海に対するイメージはそんなものだった。中国内地の他のクローン都市とは違って、上海だけが個性ある素敵な都市じゃないかと、そんな気がしていた。
実際にどうだったか? 一言では簡単に答えられない難しい質問だ。確かに上海にはヨーロピアンな雰囲気が古くから染みついており、他の中国の町に比べると大分自由を感じるし、外国人もたくさん見かけるし英語の平均レベルも比べられないくらい高い。だが、同時に上海というのも結局はやっぱり中国だなと思った。香港とも台湾とも違う、あの中国内地にしかない空気が、この上海にもしっかりと漂っている。どんな空気かと聞かれるとまた困ってしまうのだが、いろんな特徴の集合体としての中国らしさだと思う。個性のない建物、品のない簡体字、安いがあまり美味しくない食べ物、華やかさのなさ、人々の習慣(つばを吐いたり叫んだり騙しあったり)、人々の根拠のよくわからない強い愛国心、共産党の影響(インターネットが制限されていたり地下鉄に乗るだけで荷物がチェックされたり)、どれをとっても中国内地特有のものである。わずか40年にわたり、共産党がいかにこの国を一般化させたと思うと感心すると同時に、やはり少し嫌悪感も覚える。こんなに広い国なのに、多少の違いはあれど結局どこへいってもあまり変わらない。ヨーロッパであれば、違う国に入っていくことに文化が全然違い、国民性もま違ってくるが、ヨーロッパと同じくらいの大きさがあるのにもかかわらず、中国にはそれがなくて、寂しい。
それはそうと、上海のビジネス街を訪れてみたのだが、高層ビルがかなりすごい! というのはとにかく高いものを作る以外に何も考えていないらしい。一番高いのは東京スカイツリーみたいなやつだが、ご覧のとおりあまりきれいではない。もしかして醜いものを建てようということで建てられたのだろうか?
このあたりはとにかくどこを歩いても高層ビルばっかりだが、上に昇るのはばかみたいに高い(1500円くらい)ので断念。多くの観光客がこのあたりを歩き、顔を上げてお互いに指差しあいながらこの少なくとも印象的な光景を眺めている。その中に一人で歩いていたからか、なんだかここもあまり華やかさが感じられなかった。というのは、高層ビルが確かにたくさん建っているが、そこから個性みたいなものが感じられない。
 ニューヨークや香港、または東京のスカイラインを見ていると、街の雰囲気や人々の暮らしの香りがするが、上海で感じるものは二つだけ。金と物質主義。それ以外に何があるんだっていうのだ、という風に。海沿いに歩いて反対側に広がる100年前のヨーロピアンの建物を眺めていても、なぜかものすごい暗さを覚える。6ヶ月間にわたっていろいろ見すぎた自分が早くも腐ってきたというわけか? それとも上海は本当にこんなものだろうか? 次の国に移動すればわかることだ。

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