2012年3月11日日曜日

信陽の日常

March 11, 2012. Written in Vientiane, Laos.

信陽の日常


河南省最南の町、信陽は特に何もない、平凡な中国の町です。観光地もなければ、名物もない。だから、外国語の先生でもない限り、外国人がこの町を訪れることもめったにないわけだ。だが、それこそが信陽の持ち味だと僕は思っている。何も見ものがないことが、一番の見ものである。人々が毎日同じ生活を続けるだけの町、それが信陽。本当の中国を体験できし、僕の場合、前回訪れたときに友達ができたわけだから、人々の日常を垣間見ることができるわけだ。

前回訪れた際、Hさんが三日間にわたって丁寧に町を案内してくれたわけだが、家族が不在のため家に招かれることもなかったし、彼女自身も女子寮で暮らしていたため、その中を覗くわけにもいかなかった。 次に来たら、実家を案内するよ、と言われて、中国を出る前にもう一度訪れてみようと思ったわけだ。

前回は15度くらいと暖かい気候だったが、あれから3ヶ月がたった今、信陽の町はすっかり冬に入っており、零度に近いのにどこへ行っても暖房がない! 泊まっていた旅館の部屋にも当然暖房がなく、ふとんを3つかけても寒いほどだった。

Hさんは寮生活をやめ、今では友達と大学付近のアパートを借りている。エレベータのない古びたビルの4階にあり、安っぽい部屋だが3LDKという広さはうらやましい。いくらなのかと聞くと、一ヶ月の家賃は2000円くらいという驚くほどの安さで、友達とシェアしているわけだから一人千円払えばすむわけだ。寮を出る気持ちがよくわかった。

信陽での二日目はHさんの実家を訪れ、お母さんにごちそうしてもらった。

僕の他にはHさんのルームメートも一緒に来て、お母さんがたくさんの料理を用意してくださり、腹いっぱいになるまで食べた。Hさんの実家は信陽駅の近くにあり、古い住宅街にある。家の中もきわめてシンプルな作りで、中はやっぱり寒い! だが、暖かい料理を食べ、スープを飲んでいると身体がだいぶん温まった。ちなみにHさんのお父さんは建築関係の仕事をしており、今はスリランカで仕事をしている。以前にもベトナムやインドネシアで仕事をした時期があったが、お母さんは寂しくとも元気に一人娘と暮らしているようだ。
Hさんの実家の前
 
その他に、Hさんと川沿いに歩いたり、軍隊訓練場付近で300円の靴を買ったり、公園で凧揚げで遊んだり、夜行きつけの屋台で串料理を食べたり、Hさんの大学の友人とビリヤードをやったりと、信陽の学園生活を満喫してきた。

最後の夜に、屋台のおじさんにレンコン串をごちそうしてもらい「あんたは、古い常連だからね」と言われたのが何よりも嬉しかった。このおじさんの串を買うためだけでも、いつかまた訪れてみたい信陽だった。

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