November 5, 2011. Written in Shinyang, China.
ちょっとしたケーキ騒ぎ
武術学校を出て、次に向かったのは河南県最南の町、信陽だった。特に何かがあるわけではないが、少しずつ南に移動し、寒くなる前に桂林にたどり着こうということでなんとなく決めたことだった。
少林寺からはまずバスに乗り、2時間少々で河南県の県庁所在地、鄭州に到着。北京にも負けずの大都会だったが、何も見ることなく次は電車で信陽に移動。信陽までは4、5時間と聞いていたが、本当のところはよくわからない。車内で中国人カップルに話しかけられ、同じ信陽に向かっていることがわかった。女の方は信陽の大学に通っており、鄭州在住の彼氏と信陽で週末を過ごす予定らしい。大学付近に安い宿があるから紹介するよ、と二人に誘われ、11時すぎの到着後、二人とタクシーに乗る。大学の裏門らしくところで降りて、まだ営業中の屋台串屋さんで夜食を済ます。「オランダにもこういう料理はあるのかい?」と屋台主のおじさんに聞かれて、「ないです」と答えると、それなら良いビジネスができそうだねと優しそうな笑顔を見せられた。鶏腿の串はスパイスがよく効いていてうまいし、おじさんも愛想がいいからこの町にいる間はここを夜食の行きつけにしようと決めた。
宿は中国によくある「招待所」というシンプルなホテルだが、こちらも店主の愛想が良いし、ネットも使えるし、ダブルベッドの個室なのになんと一泊がたったの20元(200円)!案内してくれたカップルも、男は女子寮に入れないから二人でこの招待所に泊まる。
翌日は、観光する気満々でとりあえずバスに乗って駅まで行った。カップルに聞いたが、バスで1時間くらいの距離にきれいな山があるらしい。駅につくと、お腹が空いたので何かを食べてみようと思ったが、近くにはお店があまりないようだ。唯一あるのが、大きな大きなケーキを売っているムスリム系の人たちの屋台だ。これを少しだけ食べて、あとでゆっくり昼食をとろうと思い、ムスリム系のおじさんに「いくらですか」と下手な中国語で聞く。男の答えはよくわからないが、どうやらグラムによって違うようだ。手で「本の少し」と示した。すると、ノートパソコンくらいのでかさを切られて、思わず「ノー、ノー!」と叫んだ。
「本の少しですよ」ともう一度説明しょうとした。だが、男は面倒くさそうに頭をふった。これを買えということらしい。とりあえず値段を効いてみた。
「300元(3000円くらい)だよ!」と答えられた。そんなの払えるわけないじゃないか。断ってその場を去ろうとすると手に持っていたジャージを急に取られた。ケーキを買わないと返す気はないらしい。
「金を出せ!」らしきことをひたすら大声で叫ばれた。気が着くと、周りに30人くらいの通過人があつまり、面白おかしそうにこのケーキ騒ぎを眺めている。50元なら払うけど、それ以上は一切払えないと言ってみた。すると男は「ばかにするな」といわんばかりに僕の胸元をつかんだ。「おいおい、落ち着けよ」と通過人はおじさんに言う。あれこれと文句を言いながらも、おじさんが結局ケーキを半分に切り、50元で売ってくれた。お茶ぼったくり事件ほどではないが、またしてもやられたなと思い、気分が悪くなった。だけど、たったの50元でよかった。
一旦宿に帰ろうと思い、再度バスに乗った。バスの中で大して美味しくもない高いケーキを食べていると、隣の女の子に話しかけられた。
「大学の新しい英語の先生ですか?」と。
いい人なのかどうかはわからないし、人を信頼することなんて中国にきてからできなくなった。だけど、いやな思いをした後に誰かと話すのも悪くない。
「いや、違います。ただ旅行者です」と答えておいた。
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