2012年2月8日水曜日

Sさんのふるさと

February 8, 2012. Written in Taipei, Taiwan.

Sさんの地元

Sさんとは7年前からの知り合い。僕が17歳のときに、同じ予備校で出会った台湾人の美しい女性です。1年間仲良くし、大学に入ってからもたまに一緒に食事する仲だった。僕に親友と呼べる人がいるとすれば、彼女はまさにそれに当てはまる存在だと言って間違いない。今から約4年前、彼女は台湾へ帰国し、それからはずっと会っていなかった。
世界旅行することになり、彼女に会うことだけでも、台湾を訪れるのに充分な目的といえた。もし彼女がいなければ、おそらく台湾へ行くことはなかったんじゃないかなと思う。飛行機なしではアクセスしにくい国だし、世界を周っていると小さい国をつい飛ばしてしまうがちだ。だが、台湾へきて本当によかったと思う。旅して5ヶ月、こんなに過ごしやすい国は初めてだし、何より人が優しい。

今から一週間ちょっと前、Sさんの地元の台中を訪れた。その名の通り、台中は台湾の中部に位置する町で、人口でいえば台湾第3の都市である。台北からバスで2時間のところにあり、本当に台湾という国の小ささを実感できる短さだった。とはいえ、大体オランダと同じ面積しかない台湾でも、山国であるため、移動時間は倍くらいかかる。

Sさんとそのお母さんに駅まで車で迎えに来てもらい、Sさんの実家に案内された。台湾人の実家にお邪魔するのはこれが2回目だったが、広々としているし裕福な暮らしをしているようだ。まだ旧正月の季節だったのでお母さんに年菜(日本のおせち料理に相当するもの)を出してもらい、美味しく食べた。日本と同じく、お正月は餅を食べるのだが、餅の種類はいろいろとあるようだ。日本でも知られている大根餅の他、様々な野菜が入っている緑色の餅もあれば、ピンク色のピーナツ入りの餅もある。

 夕方になると、Sさんと二人で徒歩10分くらいのところにある地元のお寺まで行き、初詣をしてきた。綺麗で凛としたお寺で、不思議な雰囲気が漂っていた。お守りなどの値段には中国語の他に日本語が書いてあってびっくりした。ちなみに台湾人は日本人と違い、参拝の仕方を細かいところまで心得ているようだ。もちろん日本でも信仰心や仏教・神道に対して興味を抱いている人がたくさんいるが、いまどきの大抵の若者は合掌してなんとなくお辞儀するだけだといっても過言ではないと思う。もちろん、僕自信もその部類に入るし、それがどうこうしたというつもりはないし、実は返ってリーラックスしていていいことだと思っている。だが、とにかく台湾人は一般的にもう少し信仰心が強く、新年ではなくてもよくお参りをするらしい。Sさんが僕に一つ一つの神様のお名前と役割を教えてくれたり、いろんな儀式を説明してくれたし、参拝の仕方からすればかなり慣れている様子だった。

お寺を出て家へ戻ろうとすると、少し酔っ払ったおじさんに声をかけられた。この辺りで白人はそうそう見かけられないらしいので、話しかけてくる人が多い。彼の中国語をSさんが日本語に訳してくれた。よくわからなかったが、彼によると僕はとにかく彼の兄弟らしい。たとえ酔っ払っていても優しいのは、さすが台湾人という感じだった!

夜になると、彼女のいとこさんの売店を訪れた。主に檳榔(ビンロウ)を売っているお店で、夫婦で運営しているようだ。檳榔とは噛むタバコのようなものだが、詳しく知りたい方は英語のブログ"The hottest Binlangshisu" をご覧になるか、またはウェキペディアをご覧になってください。とても優しい方で、僕にいろいろとお飲み物や食べ物を紹介してくれた。息子さんに娘さんもいたが、とても可愛い二人だった。少し恥ずかしがりやだったが、あまり白人を見ることもないだろうから仕方ない。僕がSさんと日本語で話していると、息子さんがびっくりしたように彼女を眺めていた。
「何を言っているかがわからないよ!」と彼は若干パニックったように言ったが、それもまた可愛かった。

その後はSさんと二人で台中のナイトマーケットを歩きながら昔を思い出した。10代後半と20前半はよく彼女とこうして東京の街を歩んだのだった。
いとこさんの売店であれこれと食べてしまったので腹はあまり減っていなかったが、デザートはベツバラということで、とても細長いソフトクリームを一緒に食べた。

タクシーで帰り、彼女の実家の近くのホテルまで送ってもらった。

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