2012年1月30日月曜日

波風呂と何も食べないドイツ人

January 29, 2011. Written in Taipei, Taiwan.

波風呂と何も食べないドイツ人

中国の廈門から台湾の基降へのフェリーは旅立って4度目の船だった。1回目は博多から釜山へのフェリー。2回目は韓国の仁川から中国の天津までのフェリー。3度目は香港からマカオだった。どれも快適な旅で、船酔いなんて一度もしなかった。24時間もかかった仁川から天津までのフェリーでさえも、何一つ具合悪くなることのない楽しい船旅だった。

今回の台湾へのフェリーも、スタートは決して悪くなかった。夜に出港した大型客船は、悠々と進んでいった。

僕は部屋をドイツ人のカップルとシェアすることになったのだが、僕と同じく世界を旅行している人たちだった。台湾には親戚がいるらしく、一緒に旧正月を祝う予定でいるらしい。そんな彼らと一緒に食事することになったのだが、変わったことに気がついた。というのは、彼らはものすごく厳しいベジタリアンであること。肉や魚を食べないだけでなく、乳酸品も食べなければ卵類も食べない。よくそんなダイエットで世界を旅できるんだなと感心した。ちなみに、広い食堂は空っぽで、船客の少なさを窺わせる。

全部で少なくとも500人の入る船だが、今回の客数は40人にも及ばなかったのだろう。

この食堂でドイツ人としばらく話した後、僕は風呂を浴びることにした。韓国から中国へ渡ったときもそうだったが、この船は日本製のもので、ちゃんとしたお風呂がついている。お風呂は久しぶりで、お湯に浸かっているのを満喫しているときに、外の天気は急に悪化し、激しい波が立つようになった。それはお風呂にも影響し、僕は風呂内に立った波に激しく左右に揺らされ、壁にぶつかりそうになるほどだった。
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波のすごさはその夜もずっと続き、人生初めて船酔いというものを味わった。本当に気持ち悪いもので、何をしていてもよくならない。僕らの部屋は20メートルくらい高いところにあったが、それでもたまに波が窓を濡らすほどだった。すごい嵐だった。寝られるわけなどなく、たまに起きては外に出てみると、船から飛ばされるのではないかと思うほどだった。食堂にかかっていた絵画も、激しく揺れていた。

眠れぬ夜の後に、朝七時の無料朝食を食べた。この頃には波が大分落ち着いてきたので、食器がテーブルから落ちることを心配もせずにゆっくりと食べられた。 ドイツ人のカップルが料理の半分以上を食べられないため、僕が3人前近くを口にした。その後外に出てみると、台湾の陸がもう見えていた。これが基降か……。空は大分曇っており、イメージしていた暖かい台湾とは大分違うようだったが、まあ物事を第一印象で判断しないでおこう。


船を降りると、入国審査で僕が持ち歩いているパドルが問題になり、そこでドイツ人のカップルとお別れになった。どうやら、パドルは分厚すぎていて、審査なしで持っていける木材の量は限られているらしい。検査して一週間保管してからでないと、持っていけないらしい。審査員に車に乗せられて、事務所まで行った。すごく優しい人で英語も上手だったし、日本語も勉強しているらしかった。事務所に到着すると、事務員一同が席から立ち上がり、僕のパドルを興味津々で眺めたり、写真を撮ったりし始めた。事務局長が僕に挨拶し、このパドルは何なんだと聞いた。以前に桂林で竹いかだを買って旅し、今では出会った人にメッセージを書いてもらっている話をすると、とても関心したように頷いていた。
「よかったら、事務局長も書いてください」
彼は照れくさそうに微笑したが、机からマジックを取り出しては、うれしそうに書いていた。書いた後、一緒に写真撮らないか、とも。もう一人の女性が現れ、私も書きたいと言った。
「どうぞどうぞ、ご遠慮なく」
事務局長も日本語を勉強しており、私を実験台に自分の知っている日本語をいろいろと口に出し始めた。
「パドルはそのまま持って帰って結構です」と彼は言い、私に握手を求めた。

やっぱり第一印象で物事を判断するべきではない。天気がよくなくとも、台湾という国は到着早々、さっそく気に入ってきたぞ!

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